[blog]アナログゲームの設計で気を付けていること

アナログゲームのアイデアを考えていて気をつけている事に、「簡単に遊べるか」というものがある。

先に要約すれば「ルールが簡単か」という事だが、それを少し掘り下げてみる。


◆ゲーム進行は簡単か

コンピューターゲームとは違い、アナログゲームではゲーム進行をプレイヤー達自身が行う。
そのため、プレイヤーが理解できない複雑なルールや、計算できない複雑な判定は作るべきではない。

例えば、有名なボードゲーム「人生ゲーム」のゲーム進行は次のようなものだ。

プレイヤーは順番に次のアクションを行う

 1. ルーレットを回す
 2. 出目の数だけコマを進める
 3. 止まったマスの内容を実行する(お金の増減など)

実際にはもう少しあるが、基本の流れはこれだけだ。
典型的な双六の遊び方で覚えるのも難しくない。

一方、現代ボードゲームに多大な影響を与えたと言われる「カタン」というゲームがあるが、ゲーム進行は次の通りだ。

プレイヤーは順番に次のアクションを行う

 1. サイコロを振る
   先に発展カードを使う事もできる
 2. 出た目に応じて資源を得る
   出目が「7」の場合、盗賊を動かして他プレイヤーから資源カードを奪う
 3. 各種アクションを可能なだけ行う
  「交渉」「貿易」「建設」「発展カードの使用」

人生ゲームに比べて随分と複雑だ。

特に3番では複数の行動を自由に行えるため高度な判断力を要するし、「交渉」は他のプレイヤーと資源の交換を話し合うもので、互いの利害を見極める分析力が求められる。

簡単な方が常に正しいという訳ではないが、可能な限り簡単にするのは大切なことだ。
進行が簡単だとゲームのテンポも良いし、プレイしていて楽しい。

※複雑なゲームの例としてカタンを挙げたが、カタンが特別に遊び辛いゲームというわけではない。カタンは、その自由度の高さによって幾つもの勝利方法が存在し、また、交渉によって競争相手と一時的な協力関係ができたりと、非常に奥深いゲームとなっている。是非プレイしてほしい。


◆計算は簡単か

アナログゲームでは、ゲーム中に行われる各種計算もプレイヤー達で行う。
電卓を使えば正確な計算は可能だが、わざわざ電卓が必要になるような、複雑な計算を必要とする設計にするべきではない。

殆どのゲームでは、ゲーム中に用いる数値を2桁以内に収めている。
3桁用いているゲームもあるが数は少ない。

そしてゲーム中に行う計算式も、次に挙げる簡単なものに限られる場合がほとんどだ。

計算の種類
2桁以内 + 2桁以内 1 + 4
12 + 5
36 + 29
2桁以内 – 2桁以内 8 – 3
47 – 9
54 – 26
2桁以内 × 1桁 4× 7
36 × 5
2桁以内 ÷ 1桁 6 ÷ 2
48 ÷ 4

これら式の組み合わせ(A×B+Cなど)でほぼ全ての計算を行う。
また乗算や除算が使われることは少なく、加減算を使うことの方が多い。


◆勝敗の確認は簡単か

「状況の確認は簡単か」とも言える。

カードゲームをはじめ多くのボードゲームでは「一定の勝利点を最速で獲得したプレイヤーの勝ち」、あるいは「ゲーム終了時に勝利点を最も多く獲得したプレイヤーの勝ち」というルールを採用している。

そのため、点数計算はゲームの最後だけではなく途中でも頻繁に行われるが、その度に複雑な手続きや計算が必要なのは好ましくない。

また、勝敗の確認方法が複雑だと間違える危険もある。勝敗判定を間違えるのはゲームにとっては深刻な事態だ。

そのため、勝敗の確認は簡単なことが求められる。

・勝利点カードに書かれている数の合計
・勝利条件のコマの配置数

この程度ならそれほど難しいものではないし、さらに可能なら一目で判るのが理想だ。

一方、ルールの設計によっては勝敗の状況が判らない、判り難くなっているものもある。例えば「人狼」はゲーム終了の瞬間に判る。
そういったゲームの場合は今回のケースには含まれない。


◆ゲームの準備は簡単か

ゲームを考えている中で、意外な落とし穴なのがこれだ。

例として、以前に思案していたゲームでは次のような準備が必要だった。

1. 得点カード(ABCの3種類)を種類毎にシャッフルしてテーブルに置く
2. 得点カードAを4枚、Bを3枚、Cを2枚開く
3. 特殊スキルカードをシャッフルしてテーブルに置く
4. リソースカードをシャッフル
5. リソースカードをプレイヤー4人に5枚ずつ配る(手札)
6. 残りのリソースカードは山札として置く
7. ジャンケンで順番を決める
8. ゲームスタート

準備の中で「得点カードABC」「特殊スキルカード」「リソースカード」と、カードの山が5種類も出てきて、それぞれをシャッフルしてテーブルに並べたりプレイヤーに配ったりしている。

さらに、これらカードは全部で140枚ほどあって中々のボリュームだ。一般的なトランプ(ジョーカー無しで52枚)の約2.7倍もある。

ゲーム内容にもよるが、「シャッフルする山3つまで」「配るのは2種類まで」というのが一つの目安ではなかろうか。これを越えると準備が面倒に感じることが増える。


◆まとめ

ゲームの内容をあれこれ考えるあまり要素を増やしてしまいがちだが、その一方で、そのゲームの骨子を損なわず要素を減らすこと、単純化することはとても難しい。

例えばカードゲームを考えている中で、カードの種類や枚数はそのゲームの設計に適切な数か、カードの属性の種類は多過ぎないか、常に考えなければならない。

それでもルールが簡単であれば遊びのハードルを低くし、小さな子供やゲームに馴染みのない人々でも遊ぶことができる。
より多くの人々にゲームに接してもらうためにも、努力を怠ってはならないだろう。